ウィッグやHRS(ヘアリプレースメントシステム)に常につきまとう問題、それが「もつれ」。
フルオーダーで材質や色にこだわったのにこうなっちゃうのか、とため息をつくこともあります。
ここでは原因を探ったうえで、もつれを防ぐ方法を考えていきます。
HRS(ヘアリプレースメントシステム)の場合、毛髪の品質を見直すのも一つの方法です。
「人毛の種類と、人毛について知っておいてほしいこと」の記事のなかにもありますように、HRSのストック品の多くはノーマルインディアンヘアーが使われています(インディアンレミーヘアを使用したものもあります)。
このノーマルインディアンヘアーは、傷みの進行が早く、結果絡まりやすくなり、もつれが発生しやすい、という特徴があります。
レミーヘアはノーマルに比較すると長持ちで絡みにくく、その分がお値段に反映されています。
もし、お値段は高くてもいいから絡みにくいほうがいい、とお考えでしたらレミーヘアの製品をお求めください。
ただし、HRS自体、ウィッグにかなりの負担がかかるため数ヶ月で買い換えることを前提にしています。レミーヘアだからと言って、もつれ知らずで一年以上保ちます、ということではありません。
ヘアスタイル、カラー、長さによって毛髪のランクを考えましょう。
上記のようにストック品の部分ウィッグやHRSには、酸化処理されて傷みやすいノーマルインディアンヘアーの製品が多くあります。価格を考えるならばノーマルはいい選択肢なのですが、明るいカラーの場合、そしてカーリーヘアの場合はレミーヘアを選ばれたほうがよいかと思います。
酸化処理ですでに化学物質に晒されたノーマルインディアンヘアーに、さらに化学物質でカラーやカールの処理をおこなうことになり、よい品質のものがご提供できるとはとても言えないからです。
また、長い髪の製品をお買い求めの場合も、ノーマルインディアンヘアーではなく他のタイプの毛髪をご指定ください(ウィッグリリアのストック品のロングヘアーウィッグにノーマルインディアンヘアーは使われていません。詳しくは各商品ページをご参照ください)。
フルオーダーでは、どの商品もインディアンレミーヘアだけでなくチャイニーズ、モンゴリアン、ブラジリアンなど品質が高い材質をお選びいただけます。
ウィッグはそもそも自毛よりも絡みやすい、という事実
自分の髪であれば、頭皮から分泌される天然のオイルが表面を保護し、髪の中の水分を一定に保つことができます。
しかし、ウィッグやHRSにはそれがありません。そのため自毛よりも乾燥しやすくなり、絡みやすくなって、もつれが発生します。
頭皮から生えている髪を「生きている髪」だとすればウィッグやHRSの毛髪は「死んだ髪」です。死んだ髪には水分を与え、その水分が蒸発しないよう、こまめにケアをする必要があります。
下記に、「もつれを防ぐために普段の生活で気をつけたほうがよいこと」をまとめました。
1. よいシャンプー、よいコンディショナーを使いましょう。
シャンプーとコンディショナーの品質は、ウィッグやHRSの「保ち」に直接影響します。ドラッグストアの一番安いシャンプーではなく、きちんとした品質のものを選ぶようにしましょう。
2. 潤いや水分を与えるヘアケア製品を活用しましょう。
ムースやクリームで保湿すること、洗髪後に洗い流さないトリートメントを施すことをお勧めします。
逆に勧められないのは「アルコールを含む商品」です。洗髪が面倒だから、と「ドライシャンプー(「水のいらないシャンプー」など)」に頼りっきり、ということは避けてください。アルコールが含まれており、髪の水分を奪い取ってしまいます。
3. 乾かすときに、べたっとその辺に置かないようにしましょう。
洗髪後、テーブルにべたっと置いて自然乾燥させることはやめましょう。
フルウィッグや大きいヘアピースの場合は乾燥までに時間がかかり、雑菌が発生しやすくなります。
部分ウィッグやHRSは、形が崩れて装着しにくくなります。
レースウィッグであれば大きいフックに引っ掛けて乾かしても大丈夫ですが、その他の形状や材質のウィッグおよびHRSには、乾かす際に形を保つためのウィッグスタンド等をご用意ください。部分ウィッグやHRSなら、キッチンにあるストレーナー(ザル)を逆さにしてご利用になってもいいかもしれません。
また、濡れた状態でのブラッシングは避けてください。髪は、濡れているときに表面がもろく、傷みやすいのです。
4. ブローやアイロンは使いすぎないようにしましょう。
熱を発するヘアケア製品は、毛髪から水分を急速に奪い取ります。
毎日使うことで乾燥したパサパサの髪になり、絡みやすく、もつれやすくなります(店主も経験済みです)。
カールをつけたい場合は、湿らせた髪にスポンジカーラーを使うのはどうでしょう。どうしてもヘアアイロンを使う場合は温度が高すぎないよう、165度までを目安にお使いください。それでも、毎日のご使用はお勧めできません。
5. 寝るときは、なるべく外しましょう。
生活のリズムや一緒に住んでいる人にもよりますし、そもそも面倒なので強制はできませんが、もつれを防ぐなら寝るときはウィッグ(またはHRS)を外すほうがよいでしょう。
それでもやはり付けたまま寝るのであれば、枕カバーをシルクに変えてください。
長いウィッグはツインテールやおさげ髪にして寝てください。長く垂らしたままの髪で寝てしまったら、いくらシルクの枕カバーに変えても寝返りを打つたびに髪がお互いに接触して絡みつくため、傷みが早く進行します。
6. ブラシは、もつれをほどく道具ではありません。
もつれてしまったときに、ブラシを使うのは避けてください。
ブラシは「スタイリング」をする道具で、もつれをほどくのには向きません。
もつれには「目のあらい櫛」をお使いください。
必ず毛先から、ゆっくりと慌てずにもつれをときほぐしてください。
ブラシや目の細かい櫛は、上記リンク先のような目のあらい櫛でもつれをほどいた後、髪型を整えるためにお使いください。