人毛の種類と、人毛について知っておいてほしいこと

ひとくちに人毛と言っても、たくさんの種類があります。

その中から、ウィッグリリアで取り扱っている、また今後取り扱う予定の製品に使用されている毛髪の一部について解説していきます。

ノーマルインディアンヘアー

ウィッグについて店主島袋が思いを書き連ねるブログ、ヅラ生活のすゝめのなかに、「海外製人毛ウィッグは品質が悪い、という噂の検証:その2」という記事があります。ここで言及している「安い人毛ウィッグ」の材料が、おそらくこれです。

細くて柔らかく、ふんわりとウェーブがかかった髪です。名前の通り、インド産です。
このノーマルインディアンヘアー、髪の方向がバラバラでキューティクルの方向が揃っていない、という特徴があります。
そのままでは扱いにくいため、ウィッグやヘアシステムに加工する前に酸化処理を施してキューティクルを溶かしてしまいます。

キューティクルという保護膜がなくなった毛髪ですから、早く傷みます。
絡みやもつれが発生しやすいのも特徴です。

ヘアダイやブリーチは、このタイプには試さないほうが無難です。一発でウィッグ(またはヘアシステム)がダメになる可能性があります。

ウィッグリリアの取引先の工場では、このタイプはロングヘアーのウィッグには使用されていません。ロングヘアーはブラッシングの際に毛髪への負担が大きくなりやすく、傷みやすいからです。ただし、男性用ウィッグやヘアシステムのストックオーダーは、このタイプの毛髪を使用しています。

インディアンレミーヘア

細くて柔らかく、ふんわりとウェーブした髪です。同じくインド産ですが、このタイプはキューティクルの方向がきちんと揃っており、髪全体に酸化処理を施す必要がありません(根元に近い部分は、どの毛髪も酸化処理をおこないます)。

レミーヘアは若いインド人女性からのみ、買い取ります。体が若いと髪も若くて健康でしなやかだからです。また、ヘアダイやパーマをかけた女性からは買い取りません。

ノーマルインディアンヘアーは、新品の時はレミーヘアよりもツヤツヤで柔らかく、手触りよく感じます。ヘヴィーに酸化処理を施すからです。
そのため、レミーヘアの方が高価なのに艶が少ないな、と感じられるかもしれません。しかし、強くて自然で長持ちするのはレミーヘアなのです。ノーマルインディアンヘアーは数回の洗髪で艶が褪せてきますが、レミーヘアは変わりません。

チャイニーズヴァージンヘアー

ヴァージン、は「加工されてない、産地直送」みたいな意味で使われています。
日本人の髪質に近い、やや太めの直毛です。

キューティクルの方向が揃っているので根元部分にのみ、酸化処理を施します。

この髪は、短いウィッグやヘアシステムにはあまり向かないかもしれません。というのも、太い直毛なために、毛髪が立ち上がってしまうからです。

ロングヘアーのストック品のウィッグによく使用されます。

産地だけではなく、人毛について知ってほしいこと

上記以外にもブラジル、モンゴル、マレーシアの毛髪がよく使用されます。

しかし、産地だけが毛髪の個性や品質を左右するわけではありません。
毛髪の前処理と、実際にウィッグに加工する際の技術力がダイレクトにウィッグの品質に反映されます。

材料となる毛髪の化学処理は、衛生のために必要なことです。また、元の髪の個性がバラバラなのを揃える意味でも必要です。

毛髪の前処理以外にも、各種様々なウィッグへの加工段階で、それぞれが必要な処理(パーマやカラーなど)がなされます。この段階が多ければ多いほど、価格も高くなりますし時間もかかります。

話は変わりますが、ウィッグリリアのウィッグやヘアシステムは、お客様ご自身がベースをカットしたり、自毛をまとめたり剃ったり、などのひと手間が必要です。工場から届いたそのままのウィッグをサッと装着して外出できるわけではありません(医療用ウィッグと女性用部分かつらの一部は、すぐに装着していただけます)。
美しく自然な人毛ウィッグやヘアシステムを楽しむためには、お客様の努力も必要なのです。ここが安価で不自然な化繊ウィッグと大きく違う部分です。

また、人毛は自毛と同じように、日々のメンテナンスも欠かせません。
詳しくは「ウィッグの髪が抜ける原因と対処法」「ウィッグの髪のもつれを防ぎたい」にも書いていますので、そちらもご参照ください。


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